2012年10月29日月曜日

グラスホッパー

三人の主人公の視点から描かれる「殺し屋」小説。

「人殺しの業界」の間で繰り広げられる追いかけっこ。
復讐・対決・名声、それぞれがそれぞれの思惑のもとに「押し屋」を追う事となる。

話の見せ方が面白く、のめり込むように読み進めていけた。
見せ方の手法については本書のあとがきに書いてあるのでご一読あれ。

グラスホッパー (角川文庫)グラスホッパー (角川文庫)
(2007/06/23)
伊坂 幸太郎

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アジアンタムブルー

二人の間に存在する隙間。
それがあるからこそ、僕たちはそのことに思いを馳せるのではないだろうか。

君が幸せだと言う。だから僕も幸せだ。

前作「パイロットフィッシュ」につづく恋愛小説。
切なくも、強く優しく幸せな気持ちになれた。

アジアンタムブルー (角川文庫)アジアンタムブルー (角川文庫)
(2005/06/25)
大崎 善生

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2012年10月24日水曜日

イムリ 12 (ビームコミックス)

待ちに待った12巻!!
物語は一気にイムリとカーマの戦争に舵を切っていく。

道具の秘密があきらかになっていき、イムリたちも来るべき戦争に自ら進んで行くかのように団結していく。

囚われのミムリの夢を頼りに、着実にデュルクに近づく覚醒者ミューバ。そしてそのミューバの考える恐ろしい計画。

戦争の先に待っているのは希望か絶望か。

「悲しみが、憎しみが、怒りが、世界を覆う。それでも、その小さな掌の中に光はある。」

イムリ 12 (ビームコミックス)イムリ 12 (ビームコミックス)
(2012/10/25)
三宅乱丈

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2012年10月23日火曜日

パイロットフィッシュ

「人は、一度巡りあった人と二度と別れることはできない。」
こんな言葉から始まるこの作品には、とても共感でき、切なく優しい気持ちにさせる言葉がたくさん詰っている。

「こうやって無防備に時間は流れていく。幸せなときもそうでないときも、あまりにも無防備に。そして流れてしまった時間は、突然に音をなくしたこの水槽のように心のなかの奥深くに積み重なって、どうしようもないくらいに積み重なって、やがて手に取ることもできなくなってしまうのだ。」

「君がたとえ僕の前からいなくなったとしても二人で過ごしていた日々の記憶は残る。その記憶が僕の中にある限り、僕はその記憶の君から影響を与え続けられることになる。(中略)これまでに出会ってきた多くの人たちから影響を受け続け、そしてそんな人たちと過ごした時間の記憶の集合体のようになって今の僕があるのかもしれないと考えることがある。」

心の奥深くには湖のような場所があって、そこにはとりあえず必要がなくなって放り込まれていった時間の記憶が沈んでいる。だけど何かの拍子にそれは浮かび上がってくる。
それに手を伸ばしても、沈殿している過去を二度と手に取ることはできない。しかしそれは自分の中に確かに存在している。

自分という過去の記憶の集合体に、この先どう向き合って生きていくべきか。
すこしヒントがもらえた気分です。

パイロットフィッシュ (角川文庫)パイロットフィッシュ (角川文庫)
(2004/03/25)
大崎 善生

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2012年10月22日月曜日

イン ザ・ミソスープ

背筋に嫌な汗をかく。そんな感じの物語だった。
殺人の描写の凄惨さよりも、自然と街に「ミソスープの中の、わけの分からない具」のように溶け込むフランクの不気味さが、身近な場所にも潜む狂気のようで気持ち悪い。
久しぶりの村上龍だったけど、とてもスリリングで面白い小説だった。

イン ザ・ミソスープ (幻冬舎文庫)イン ザ・ミソスープ (幻冬舎文庫)
(1998/08)
村上 龍

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2012年10月16日火曜日

夜のピクニック

とても面白かった!!

物語の背景は、高校生が学校の行事で夜通し歩くだけなんだけど、そこに絡んでくる登場人物や、細かいエピソードが、親近感がわくというか想像しやすく、物語にすんなり入っていける。

寝なきゃいけないって思いながら読むのを止められず、結局最後まで一気に読みきってしまった。

名作青春小説でした。

いや~、読書の秋っすなぁ。

夜のピクニック (新潮文庫)夜のピクニック (新潮文庫)
(2006/09)
恩田 陸

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2012年10月14日日曜日

地下鉄に乗って

「日輪の遺産」に続いて浅田次郎著の作品二本目。

最後の展開は寂しすぎて辛すぎる。だけど、それまでの過程はグイグイ引きこまれていく。
あと、自分たちの暮らす地上とは違う地下にめぐらされた地下鉄への興味も湧いてきた。
確かに子どもの頃は、地下鉄にワクワクしたなぁと。

地下鉄に乗って (講談社文庫)地下鉄に乗って (講談社文庫)
(1999/12/01)
浅田 次郎

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2012年10月3日水曜日

「クイズの時間だ」教授はそう言って、大きな壺を取り出し教壇に置いた。

ある大学でこんな授業があったという。
「クイズの時間だ」教授はそう言って、大きな壺を取り出し教壇に置いた。
その壺に、彼は一つ一つ岩を詰めた。
壺がいっぱいになるまで岩を詰めて、彼は学生に聞いた。
「この壺は満杯か?」教室中の学生が「はい」と答えた。
「本当に?」
そう言いながら教授は、教壇の下からバケツいっぱいの砂利をとり出した。
そしてじゃりを壺の中に流し込み、壺を振りながら、岩と岩の間を砂利で埋めていく。
そしてもう一度聞いた。
「この壺は満杯か?」学生は答えられない。
一人の生徒が「多分違うだろう」と答えた。
教授は「そうだ」と笑い、今度は教壇の陰から砂の入ったバケツを取り出した。
それを岩と砂利の隙間に流し込んだ後、三度目の質問を投げかけた。

「この壺はこれでいっぱいになったか?」
学生は声を揃えて、「いや」と答えた。
教授は水差しを取り出し、壺の縁までなみなみと注いだ。彼は学生に最後の質問を投げかける。
「僕が何を言いたいのかわかるだろうか」
一人の学生が手を挙げた。
「どんなにスケジュールが厳しい時でも、最大限の努力をすれば、 いつでも予定を詰め込む事は可能だということです」
「それは違う」と教授は言った。
「重要なポイントはそこにはないんだよ。この例が私達に示してくれる真実は、
大きな岩を先に入れないかぎり、それが入る余地は、その後二度とないという事なんだ」
君たちの人生にとって”大きな岩”とは何だろう、と教授は話し始める。
それは、仕事であったり、志であったり、愛する人であったり、家庭であったり・自分の夢であったり…。

ここで言う”大きな岩”とは、君たちにとって一番大事なものだ。
それを最初に壺の中に入れなさい。さもないと、君達はそれを永遠に失う事になる。
もし君達が小さな砂利や砂や、つまり自分にとって重要性の低いものから自分の壺を満たしていけば、
君達の人生は重要でない「何か」に満たされたものになるだろう。
そして大きな岩、つまり自分にとって一番大事なものに割く時間を失い、その結果それ自体失うだろう。


有名なコピペだけど、印象に残る好きなコピペ。