2012年8月28日火曜日

美丘 (角川文庫)

初めてかもしれない。
悲しくて読み進めるのが嫌になって、それでも先が気になって、無理やりにでも嗚咽混じりに読んだのは。

お互いが燃え尽きるような恋。

導火線のように、火がついたら止めることも出来ず、そして、必ず終わりがやってくる。
そんな激しく眩しく燃え尽きる恋。

主人公の太一のように、すべてを捧げる覚悟に尊敬と憧れ。
そんな風に真っ直ぐに生きていきたい。

美丘 (角川文庫)美丘 (角川文庫)
(2009/02/25)
石田 衣良

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2012年8月27日月曜日

WILL (集英社文庫)

「MOMENT」の続きにあたる本作。
「MOMENT」は死を目前にした人たちの想いが綴られていて、この「WILL」では、死んでいった人たちが残したもの、残していった意思が綴られている。

そして、前作の主人公と今作の主人公との恋の行方。

どのエピソードも心温まるストーリーで、恋の行方も、未来の想いも、暖かく心に染み込んできて、最初から最後まで心を揺さぶられながら、最後の数ページでは涙をこらえながら読んだ。

とても面白く、感動し、生きている人間の強さを痛感する、とても面白い小説。

「MOMENT」「WILL」続けて読むべし。

WILL (集英社文庫)WILL (集英社文庫)
(2012/03/16)
本多 孝好

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2012年8月19日日曜日

日輪の遺産 (講談社文庫)

思いもよらぬ話の展開に、最後まで集中して読み切る事が出来た。
最初は戦争中に隠された財宝を探し当てるだけの物語かと思ったら、そうではなく、次第に登場人物たちの生い立ちや感情に共感し始め、もっと大切なモノに気付く。
戦争の影に打ちのめされ、それでも希望を持って生きていく。

名作と言われるだけあってとても面白い小説だった。満足。

日輪の遺産 (講談社文庫)日輪の遺産 (講談社文庫)
(1997/07/14)
浅田 次郎

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2012年8月6日月曜日

何もかも憂鬱な夜に (集英社文庫)

解説/又吉直樹と書いてあったので思わず購入。

内容はドーンと暗く、元孤児の刑務官が、死刑確定の迫る未決囚とのやり取りを経て、自殺した友人の記憶、自分の中のカオスと向き合いながら、死刑制度や生と死に希望を問いかける。


又吉さんも取り上げていた、恩師の言葉。

「これは、凄まじい奇跡だ。アメーバとお前を繋ぐ何億年の線、その間には、無数の生き物と人間がいる。どこかでその線が途切れていたら、何かでその連続が切れていたら、今のお前はいない。いいか、よく聞け」
そう言うと、小さく息を吸った。
「現在というのは、どんな過去にも勝る。そのアメーバとお前を繋ぐ無数の生き物の連続は、その何億年の線という、途方もない奇跡の連続は、いいか?全て、今のお前のためだけにあった、と考えていい」


なんか、重いテーマの話の中で、ふっと心が軽くなった気がした。

落ち込んだり躓いたりした時に何度も読むことになりそうな本です。

何もかも憂鬱な夜に (集英社文庫)何もかも憂鬱な夜に (集英社文庫)
(2012/02/17)
中村 文則

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