内容はドーンと暗く、元孤児の刑務官が、死刑確定の迫る未決囚とのやり取りを経て、自殺した友人の記憶、自分の中のカオスと向き合いながら、死刑制度や生と死に希望を問いかける。
又吉さんも取り上げていた、恩師の言葉。
「これは、凄まじい奇跡だ。アメーバとお前を繋ぐ何億年の線、その間には、無数の生き物と人間がいる。どこかでその線が途切れていたら、何かでその連続が切れていたら、今のお前はいない。いいか、よく聞け」
そう言うと、小さく息を吸った。
「現在というのは、どんな過去にも勝る。そのアメーバとお前を繋ぐ無数の生き物の連続は、その何億年の線という、途方もない奇跡の連続は、いいか?全て、今のお前のためだけにあった、と考えていい」
なんか、重いテーマの話の中で、ふっと心が軽くなった気がした。
落ち込んだり躓いたりした時に何度も読むことになりそうな本です。
何もかも憂鬱な夜に (集英社文庫) (2012/02/17) 中村 文則 商品詳細を見る |
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