2014年5月21日水曜日

右岸

なかなか読了するのに時間がかかった!
江國香織の「左岸」に対する、辻仁成の「右岸」。

率直な感想は、面白いんだけどなんだか勿体無い。
まず主人公の超能力が話の本筋になっていて、さすがに全然共感できない。
そしてちょくちょく出てくる巨大な性器の描写にこだわる割には、官能的な描写はイマイチ。
上巻はそんな調子で、待ちかまえてる下巻のプレッシャーに怯えながらも、全然読み進まず(笑)

しかし劇的な終わりの上巻から下巻中盤までは、まさに起承転結の「転」と言った感じで(わりと「転」だらけですが)、劇的な人生ですれ違っていった人達との再会の場面に涙しました。
無茶苦茶な人生を送ってきた主人公を、支える周りの人達の愛に癒やされる。
この中盤以降ラスト前までは読み応えもあり、グングン読み進んだ。

このまま感動的なラストに!…と期待したけど、またしても超常現象推しに感情移入できず、その前までの自分の中の盛り上がりが肩透かしに合った感じで、すごく勿体無く感じたのでした。

主人公を全く在り得ない存在として書くことで何かを狙ったんだと思うのですが、そこが分からなかった。
これは「左岸」を読んで自分の中での答え合わせをしたいのと、飲みの席で討論したい。
そして、家にあるどうでもいいようなスプーンで自分の力を試してみよう。

右岸 上 (集英社文庫)右岸 上 (集英社文庫)
(2012/02/17)
辻 仁成

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