2014年5月21日水曜日

右岸

なかなか読了するのに時間がかかった!
江國香織の「左岸」に対する、辻仁成の「右岸」。

率直な感想は、面白いんだけどなんだか勿体無い。
まず主人公の超能力が話の本筋になっていて、さすがに全然共感できない。
そしてちょくちょく出てくる巨大な性器の描写にこだわる割には、官能的な描写はイマイチ。
上巻はそんな調子で、待ちかまえてる下巻のプレッシャーに怯えながらも、全然読み進まず(笑)

しかし劇的な終わりの上巻から下巻中盤までは、まさに起承転結の「転」と言った感じで(わりと「転」だらけですが)、劇的な人生ですれ違っていった人達との再会の場面に涙しました。
無茶苦茶な人生を送ってきた主人公を、支える周りの人達の愛に癒やされる。
この中盤以降ラスト前までは読み応えもあり、グングン読み進んだ。

このまま感動的なラストに!…と期待したけど、またしても超常現象推しに感情移入できず、その前までの自分の中の盛り上がりが肩透かしに合った感じで、すごく勿体無く感じたのでした。

主人公を全く在り得ない存在として書くことで何かを狙ったんだと思うのですが、そこが分からなかった。
これは「左岸」を読んで自分の中での答え合わせをしたいのと、飲みの席で討論したい。
そして、家にあるどうでもいいようなスプーンで自分の力を試してみよう。

右岸 上 (集英社文庫)右岸 上 (集英社文庫)
(2012/02/17)
辻 仁成

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右岸 下 (集英社文庫)右岸 下 (集英社文庫)
(2012/02/17)
辻 仁成

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2014年5月7日水曜日

ストロベリーナイト

一気読み!
いやぁ~面白かった!

まず初っ端から顔を背けたくなるような残虐描写がとにかくグロい!
あの「武士道シリーズ」を書いた人と同じ人だとは…。
いきなりのグロで出鼻をくじかれそうになったけど、出てくる登場人物全員魅力的!
その見事な書き分けは「武士道シリーズ」同様、嫌らしさから面白さまで十人十色で面白い!
そして、最初から最後まで突き進むテンポと張り詰めた緊張感!
「武士道シリーズ」に続き、すっかり「姫川シリーズ」のファンです(笑)
止め時が見つからない面白さでした!

ストロベリーナイト (光文社文庫)ストロベリーナイト (光文社文庫)
(2008/09/09)
誉田 哲也

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2014年5月5日月曜日

百瀬、こっちを向いて。

モノノフとしてはこの映画は見ないといけない。
そしてもちろん原作も読まないといけない。
という事で「百瀬、こっちを向いて。」を読了。

心が気持ちよく締め付けられる切なく優しい物語。
覆面作家と解説に書いてありますが、以前読んだ「暗いところで待ち合わせ」の乙一さんなんですね、知りませんでした。
苦手な短編集でも、最後まで楽しめました!

百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫)百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫)
(2010/08/31)
中田 永一

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2014年5月4日日曜日

そして誰もいなくなった

アガサ・クリスティーの名作「そして誰もいなくなった AND THEN THERE WERE NON」を読了。
解説の赤川次郎氏の言うとおり、あっという間に読み終えてしまう、丁度いい頁数。
そして面白かった!

以前にハマった綾辻行人の「館シリーズ」第一作十角館の殺人に繋がる。
こちらを先に読んどくべきものなのかもしれませんが、今更仕方がない。
改めて思い起こすと「十角館の殺人」の至る所にオマージュがあったんだなぁと驚かされる。
それだけこの「そして誰もいなくなった」は本格ミステリーの金字塔的な位置にある物語なんですね。
タイトルはよく聞くけど、よく聞く時点で読んどきゃよかったです。
そしてもう一度「十角館の殺人」を読みたくなるという。
今邑彩さんの「そして誰もいなくなる」も読んでみたいな。

携帯電話が当たり前の現代では、通信の遮断された孤島に隔離される事なんてありえないだろうけれど、古典とは言え今でも面白く読める名作でした。

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
(2010/11/10)
アガサ・クリスティー

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