2012年12月31日月曜日

あのとき始まったことのすべて

心のなかの記憶の湖に沈んでいるキラキラした記憶。
色あせることはないと信じて疑わなかった思い出も、湖の底に沈んで手が届かなくなる。
ふとしたはずみで浮かび上がってきて、未熟な心を揺らす。
大崎善生の『パイロットフィッシュ』でも感じたことは、この『あのとき始まったことのすべて』にも共通する点がある。
人の記憶の切なさと輝きが描かれている気がした。
こういう小説に出会うと、「自分は過去に縛られてる」と自己嫌悪に陥っている自分の大きな救いになる。

あのとき始まったことは、きっと何かに繋がっている。
あのときの自分が起こした小さな風は、きっといつかハリケーンのように大きな流れになる。

自分にとって大きな転機となったこの一年の最後に、こんな素敵な小説に出会えた事に感謝。

あのとき始まったことのすべてあのとき始まったことのすべて
(2010/03/26)
中村 航

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